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(注意)本記事は、金剛株式会社が1997年2月28日に発行した機関誌「PASSION VOL.19」の内容を、当時の記録として公開するものです。記事内の情報は発行当時のものであり、現在の状況とは異なる場合があります。また、当時の社会情勢や倫理観を反映した表現が含まれている可能性があり、現代の基準に照らし合わせると一部不適切と感じられる箇所もあるかもしれませんが、資料的価値を考慮し、原文のまま掲載しています。掲載されている商品やサービスは、既に販売・提供を終了している場合があります。
本記事は、著作権法上の引用の範囲内で掲載しています。当時の記録として、皆様に楽しんでいただけましたら幸いです。
寄稿者:
金剛株式会社
テクノ部 藤本正信
CTC事業部 石橋英二
はじめに
今日あらゆる産業分野や業界において、電子化のうねりが押し寄せている。移動棚を主力製品とする当社においても、先端ハイテク技術を駆使し、さらに高付加価値な移動棚の研究・開発に精力を傾けてきた。
本稿で紹介する新型無線リモコンZ (EH) は、先の96東京国際物流展でも発表したものであるが、従来の 移動棚の概念を打ち破り、多彩な機能をパッケージ化した、まさに究極の電子電動棚といえるシステムである。
主要装備の説明
本システムは当社製品であるZ (EH:電動移動棚。 重量タイプ) に無線リモコン、無線LAN、AEX制御装置、 バーコード管理機能などの物流情報システムを装備している。
1.無線リモコン
最大300m離れた場所から電動棚の遠隔操作が可能。また、特定小電力仕様 (400MHz、テレコントロール用) の無線モジュールを使用しており、さらに独自の通信チェックにより確実性・信頼性を向上している。
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2.無線LAN
フォーク車載端末と在庫管理用コンピュータとの間で無線によるリアルタイムなデータ通信を行い、入出庫作業や在庫管理などを支援する。
3.AEX制御装置
既にAEX (軽量タイプ・電子電動棚) において確立している当社の制御技術・ノウハウを生かし、重量タイプの電動棚に必要とされる操作性や機能、そして安全機能など、すべて一つのハードとソフトにまとめている。以下にその代表機能を説明する。
(1)モニタリング機能:タッチ操作が可能なディスプレイ (バックライト内蔵) を主台車に装備し、通路集束や均等分散などの特殊操作、運転状態や操作支援・異常警報などのメッセージ表示、使い勝手に応じ機能変更が自由なパラメータ設定機能などを有する。
(2)自己診断機能:システムを構成する各要素 (スイッチやセンサ類、配線関係、各制御モジュールなど)の作動状況を常に監視しており、緊急時にはフェールセープ機構により常に安全側に作動するようにシステム設計を行っている。
4.バーコード管理機能
無線ハンディーターミナルで、該当の棚ロケーションコードや商品のソースコードをスキャンすることで、入出庫作業と平行して確実な検品が行える。またフリーロケーション管理で、よりフレキシブルな作業を実現することも可能。
5.インバータ制御機能
高性能インバータの使用により滑らかな走行制御を行い、従来の直起動方式の約1/2まで移動時間を短縮している。
6.テレメンテ機能
システムに異常が発生した場合、その詳細な情報を即座に電話回線を通じて本部に自動送信できるため、保守・メンテナンスにおいて対応がスムーズとなる。


システムの導入効果
- 無線リモコンによりフォークリフトに搭乗のまま移動棚の遠隔操作が行え作業性が向上する。(台車の近くまで行って操作する必要がない)また、次の作業通路をあらかじめ形成しておくことができるため、フォークリフトの到着と同時に作業に取りかかれ効率化につながる。
- 無線LANにより、オペレーターは探したり迷ったりすることなく、素早く確実に必要な商品のピッ キングが行える。また、車載端末の画面には分かり易い絵とメッセージで表示されるため、不慣れなオペレーターでも安心して作業が行える。
- 無線LANでのリアルタイム通信により、物と情報の一元管理を実現し、在庫管理精度が飛躍的に向 上する。
- 入出庫等において作業指示書が不要となるため、 ペーパーレス化を実現し、事務処理の合理化につ ながる。

最後に
以上に紹介した新型無線リモコンZ (EH) は、今後十分可能性の広がる情報ネットワークに対応した点、 あるいは業界初のマン・マシン・インターフェース (モ ニタリング機能) を搭載した点により、特に万一の緊急時に安心してメンテナンス対応できるとして高い評価を得ている。
21世紀はすぐそこまできているが、常に当社は時代のニーズを的確に捉え、より一層、顧客満足性の高い移動棚システムを提案していきたいと考える。
(1997年2月28日刊行)