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震災を乗り越え新図書館の開館

白河市立図書館

内観

話し手:佐川 幸雄さん(白河市立図書館 館長)田中 信哉さん(白河市立図書館 副館長) ※所属・役所は当時のものです

 
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ー新図書館が開館しました。開館に至るまでの経緯についてお話を伺います。
 
佐川 はじめに平成6年にJR白河駅前用地を取得後、市有地の利活用について検討され、平成17年に駅前用地利用の基本計画及び、図書館の基本構想一計画が策定されました。中心市街地活性化法の指定を受け、街づくり及び人づくりの拠点として、複合文化施設として計画が進みました。白河市は旧白河市、西白河郡表郷村、大信村、東村の合併により、新市制が発足され人口6万人の都市になりました。図書館としては4館が統合することになり、中央館として機能が盛り込まれ、また、産業支援センターや集会機能が付加した複合施設になりました。
 平成18年に設計者を公募型プロポーザル競技により実施し、第一工房(東京都)が選定されました。
 
 
ー図書館計画においてのポイントはどこでしたか。
 
佐川・田中 ポイントの1つ目が蔵書数です。旧館では施設の老朽化をはじめ、収蔵スペースの狭隘化が課題になっていました。旧施設では11万冊でしたが、人口規模が同じ公共図書館や近隣の図書館を参考に、25万冊の倍の蔵書数を設けました。
 2つ目に閲覧席です。旧館では閲覧席が10席しかなく、利用者がゆったりとしたスペースで閲覧ができませんでした。新館では大幅に増やし250席です。 
 3つ目に雑誌の充実です。これまで30誌程度でしたが、161誌に増やしました。産業支援センターも隣接されていますのでビジネス関連雑誌を含め、様々な観点で選書しています。
 4つ目は、設計者との対話です。設計者は建築・設備のプロですが、私どもは運営面での意見を出して反映していきました。運営としては基本的には利用者が借りやすく、スタッフが返しやすくでき、図書を書架の中でアピールできるようにしたいと強い思いを持っていました。書架や家具類のデザインの重要性もその時気づいた点でした。
 
 

閲覧席

2F・デスクスタンド付き閲覧席
 

開架エリア

2F・一般開架エリア
 

壁面書架

壁面新刊本架

ー運営面ではいかがでしょうか。
 
田中 できるだけサービスの敷居を下げたいと思いました。貸出利用では2週間で5冊まででしたが、3週間で読めるだけ借りられるようにしました。
 また、これまで業務は手作業でしたが、ICタグや自動貸出機、ウェブ予約などの最新のシステムを導入しました。サービスに関して、しっかりとした信頼性があがったのではないかと思っています。分館からも検索ができ、貸出も迅速に行えます。これまでにないサービスの向上が、利用者の方々より高い評価をいただいております。
 

検索台

検索台
 
ー開館してからの効果はいかがでしょうか。
 
佐川 図書館には多くの方々に来館いただき、概ね良い評判をいただきます。登録状況として、市内をはじめ県南一円、近接する県外からの利用者もいらっしゃいます。近隣のお店の方からも「お客様が増え、賑わいが戻ってきた」との声もいただきました。当初の狙いであった地域活姓にも効果がでてきていると確信しているところです。
 
 
ー東日本大震災にて被災し、開館が延期になりました。当時の被災状況をお聞きします。
 
田中 白河市は震度6強を受けました。建物には大きな損傷はありませんでしたが、被害としてはガラスが割れたり、内装がずれたり、書架の固定ボルトが緩んだ箇所もありました。また開館準備の終盤でしたので配架された多くの図書が落下しました。
 次に建設関係の業者との連絡が取れませんでした。書架の固定も不安定な状態でしたが、メーカーの安全点検の要請にも連絡が取れない状況でしたので、メーカーとの調整に約1ヶ月程度かかりました。電話・交通網・ガソリン不足等が要因でした。 
 メーカーの安全点検後、当初4/30のオープンが、9月開館として最終的な開館準備に取り掛かりました。その後、放射能の影響が明るみになり、子供たちは夏休み期間中、プールも外でも遊ぶ場所がなくなりました。そこで開館を早め7/24にオープンすることになりました。
 
ー今回の震災での教訓はなんでしようか。
 
佐川 もし開館中に地震が発生した時のことを考えると、書架や造作家具の地震対策は重要です。「免震書架」が注目されるのではないでしょうか。
 他にも連絡網については、携帯電話を使えてないので、ハンディ無線の常備は必要だと思います。
 また震度4から「書架から離れてください」との館内アナウンスを徹底するようにしています。
 
ー最後に展望について伺います。
 
田中 できるだけ多くの方々に来てもらい、利用していただきたいと思います。現在、人口の10%程度の登録状況です。今後は学校との連携も図り、アピールをしていきたいと思います。
 
 

子どもの本コーナー

こどものほんコーナー
 

おはなしのこや

おはなしのこや
 

ベンチ

倒木を利用したベンチ
 

外観

外観
 

ー本日は貴重なお時間をいただきまして、ありがとうございました。
取材・文:木本 拓郎(金剛株式会社 企画チーム)

白河市立図書館
所在地:福島県白河市道場小路96-5
TEL:0248-23-3250
開館時間:平日(火~金)10:00~20:00、土・日・祝日 9:30~18:00
休館日:月曜日(祝日の場合は開館し、翌日休館)館内整理日/毎月第一水曜日
(但し該当水曜日が祝日に当たる場合は翌日)、年末年始、特別整理期間
URL:https://library.city.shirakawa.fukushima.jp/contents/