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話し手:林 政彦さん(聖徳大学図書館事務室 室長)
ー本日は新図書館の経緯と位置づけについてお話を伺います。
聖徳大学は幼児教育を核に、女性教育を行っている総合女性大学で、附属幼稚園から大学院までの一貫した教育環境が整っています。聖徳大学川並記念図書館は聖徳学園創立75周年記念事業の一環として新築されました。最新設備を導入し、利用者の利便性や安全・安心の環境づくりは、川並弘昭前学長の図書館充実に対する長年の想いが実現されています。
現在、入館者数は1日当り約2,000人で、以前に比べ2倍近くの増加です。
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建物内の様子
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開架閲覧スペース
ー図書館の特長について伺います。
当館では、非接触型ICカードを用いた入退館ゲートや随所に防犯カメラを配備しセキュリティ性を高めました。また、地震対策として図書の落下や利用者の身を守る免震書架の採用、館内のOPAC検索機から読みたい図書を要求すると自動で出納する自動書庫等の最新設備を導入し、利用者の安全や利便性に最大限配慮された設計としました。
館内はゆったりとした閲覧席や個人学習席を大幅に増やしました。ホップで女性の感性をくすぐるデザインのインテリアや家具は、居心地の良さを追求しました。これらの選定には、石井幹子デザイン事務所より監修をいただき、学生からも好評です。
館内にはこども図書館、聖徳博物館、貴重書展示ラウンジ、カフェなど各種の諸室を複合し、これまでにない新しい図書館となっています。特に、こども図書館では幼稚園児をはじめ、初等教育の学生や教員が、読み聞かせの教育実習を行える場として活用されています。また本だけでは学べない、実体験できる場として、「たいけんの部屋」と呼ばれる部屋を設け、あそびを通じて学べるようになっています。
さらに、環境に優しい施設づくりにも取り組んでいます。屋上緑化をはじめ、トイレに雨水を再利用した中水を使ったり、省エネのためのLED照明の採用、CO2削減のため館内の冷暖房の熱源を都市ガスにしたり、さらに外壁には太陽光発電を設置するなど、環境に対して最大限配慮しました。
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新着図書の企画展示コーナ
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閲覧席
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聖徳博物館
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貴重書展示ラウンジ
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たいけんの部屋
ー東日本大震災での影響はいかがでしたか。
3.11の当日は松戸市でも立っていられないほど、大きな揺れを感じました。学内では卒業式が行われた後で、図書館利用者がほとんどいない状況でしたので人災がなく幸いしました。なお当日は館内にいた多くの職員は、防災訓練通りに避難できたので安心しました。
落ち着いた後に館内に入り、安全確認を行いました。開架エリアに導入した免震書架が効果を発揮し、図書の落下はほとんど見られませんでした。一方雑誌架や免震書架ではない書架からの図書の落下があり、自動書庫システムが地震により一時的に停止しました。
今回、図書の落下を最小限度に抑えることができたので、翌日にはシステムも含めて復旧し、利用者サービスができるようになり、よかったと思います。
ー地震での教訓はなんでしようか。
免震書架の安全性は確認できましたが、多くの学生利用時の地震発生を想定した、避難誘導を的確に行う必要があります。学生の安全を確保するための避難経路の再確認が重要だと感じています。
ー最後に、図書館サービスにおける展望をお聞きします。
図書館としては、施設活用や学習環境のハード面は整備できましたが、学生利用に向けたソフト面の充実を図りたいと思います。具体的には、教職員と連携し、ICTの活用やラーニングコモンズの充実により、図書館利用をさらに促進できるよう努めていきたいと思います。
次に学生の参画です。現在約20名の学生ボランティアがいて、選書や配架等の図書館業務をサポートしてもらっています。選書した学生が一口コメントを付けて展示配架する試みは、学生へのモチベーションの向上だけではなく、図書も多く手に取られて貸し出されています。
また聖徳大学は全国区から入学してきますので、学生の出身地の地方新聞を取り寄せ配架しています。地元への就職情報も配慮した新聞サービスは、学生からも高い評価をもらっています。こういった学生からのニーズをくみ取り、さらに利用しやすい環境づくりに努めていきたいと思います。
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メディアパーク
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学生ボランティアの一口コメント
ー本日は貴重なお時間をいただき、誠にありがとうございました。
取材・文:木本 拓郎 金剛株式会社 企画チーム
聖徳大学川並弘昭記念図書館
所在地:千葉県松戸市岩瀬550
URL: http://www.seitoku.jp/lib/